感受性の窓枠

感受性の窓枠

とあるカウンセリングで、とある女性からお聞きしたエピソードについて、、、
ご本人と交際中のお相手に承諾を戴いて書かせていただきます。

お二人で今上映中の『百花』を観に行かれたそうです。

先日、スペインの最大の国際映画祭で、最優秀監督賞を受賞した注目の映画です。

認知症の母とその息子をめぐり、記憶というテーマで描かれた作品です。

彼女は認知症の父を見送った体験も重なって、映画が終わった後も、しばらく立ち上がれないほど感動をして、涙が止まらなかったのだそうですが、

所が、お相手の男性は『意味が分からん!!不倫の映画かぁ~』と、悪評を述べたのだそうです。

こんなに価値観が違う相手と、これから人生を共に出来るのか?
と、とてもその男性に対して落胆したそうですが、その時に私が伝えた言葉を思い出してくれたのだそうです。

【事実はたった一つだけど、真実は人の数だけあって、結局人はどう捉えたかの感受性の窓枠でしか世の中を見られない】

という、私の説です。
~少しだけミステリと言う勿れの久能整くんの台詞をパクってます~

誰しも、起きる出来事についてそれぞれの意味付けをしながら世の中を見ています。
一番やってはいけない人間関係は、相手の窓枠を避難してしまうということ。

だってそれが相手の大切な真実なんですから。
この窓枠を作ったのは、相手の感性や経験や拘りなど、その人そのものと言っても良いほどの聖域なのです。

そこを否定されてしまうと、その人は自分の存在価値まで否定されたかのような気持ちになってしまいます。

じゃ、どうするのか~。

こういう窓枠が出来たこの人の経験ってなんだろう。
何がこの人には障っているんだろう。
に耳を傾けるのです。

ネガティブな感情が出た時こそ、その瞬間人が《本音》を伝えようとしているサインだと私は思ってます。

結局その男性は、過去にお母さんが亡くなったときに、何もしてあげられなかったご自分を赦して いなかったという事が分かったのだそうです。

そこに辿り着いた彼女は、生き方の上級者クリエーターですし、素直な自分の本音を吐露できた彼も、本当にあっぱれです。

価値観が違っていて、夫婦は完璧です。

窓枠から見える景色が違うからこそ、理解しようという気持ちが生まれるのだから。

そんな基本姿勢でみんながいたら、きっと優しい社会になるんだろうなぁ。